リバースモーゲージ
リバースモーゲージとは、自宅(持ち家)を担保にして、そこに住み続けながら自治体や金融機関から融資を受けられる主にシニア層向けの融資制度です。
基本的に生存中は返済の必要はなく、当事者ご本人が死亡した時点で、担保の資産を売却することにより融資額は一括返済するシステムです。
もし、返済後にお金が残った場合はご遺族に返還されます。
リバースモーゲージは、1960年代にアメリカで始まり、1981年から日本でも導入されましたが、導入当初はバブル期で高齢化がそれほど進んでいなかったことで、利用する方がほとんどおりませんでした。
2003年に、国の政策として社会福祉協議会による「長期生活支援金貸付制度」に、リバースモーゲージの仕組みを導入したことで、注目を集めることになりました。
しかし、開始当初は一部の自治体や民間の金融機関(地方銀行、第二地方銀行、信託銀行、信用金庫など)などが少しずつ扱いを増やす程度に止まっておりました。
ところが、2013年にみずほ銀行、2014年には三菱UFJ銀行、2015年に三井住友銀行と、3大メガバンクが足並みを揃えリバースモーゲージの取扱いを開始したことで、一躍脚光を浴びることになりました。
リバースモーゲージは、高齢者なら誰でも利用できる融資制度ではありません。
利用する金融機関により条件は異なるようですが、概ね共通する条件があるのでここでご紹介しましょう。
申し込みが可能な年齢(最低年齢と年齢上限)
一般的には、申し込みされる年齢の設定は、55歳〜80歳の年齢としているところが多いようです。
申し込みの最低年齢については、60歳からが53%と半数以上を占めております。
申し込みの条件の年齢については、80歳としているところが50%と約半数になっております。
寿命が伸びている日本では、80歳以上長生きされる方が多くなることで、融資額が融資可能額を超えてしまう長寿化リスクに備えるために、申し込みや融資可能期間を制限しているようです。
資金使途の制限
資金の使途は、金融機関によって「自由形」と「限定型」があり、「自由形」は使途は原則自由となっております。
「限定型」は、支出が大きく発生する、「住宅の改修費用」や「老人ホームへの入居金」などを限定の対象にしている事が多いようです。
リバースモーゲージは、あくまで生活資金として活用することを目的としておりますので、事業資金や投資を目的として利用することはできません。
担保となる不動産の条件
現在、リバースモーゲージを利用する際の担保となる不動産の条件は、一戸建て(土地・建物)のみとする商品が80%程度と多いようです。
最近になって、マンションがリバースモーゲージの担保物件とする商品も少しづつ見受けらますが、対象は、都心部にあるなど立地条件が良いことと、地盤が固く地震などで倒壊する可能性が低いなど、資産価値が落ちにくいマンションが前提となっているようです。
また、担保対象がマンションの場合、戸建てに比べると担保評価は50%程度と低くなることがほとんどです。
担保物件の評価額
リバースモーゲージの担保の対象となる不動産は、一定の基準以上の資産評価額がないと利用できません。
評価基準や評価方法などは各金融機関により異なります。
例)みずほ銀行の場合、みずほ銀行所定の方法による評価で2,000万円以上
担保評価に対する融資限度額
一般的に、貸付限度額は物件評価額の50〜70%程度で設定されるケースが多いようです。
これは、金融機関側が金利の上昇や物件の評価額が下落することに備えるためです。
その他、次にような条件もある場合がございます。
- 法定相続人を戸籍謄本により確定できること。
- ご自宅に住んでいるのは、夫婦のみ、もしくはあるいは一人暮らしに限る。
- 金融機関指定の保証会社の保証が受けられること
- 一定基準の収入(年金も含む)が必要となります
※金融機関によって様々な条件が設定されていることがあるので、ご利用を検討される場合は、直接金融機関にお尋ねください。
リバースモーゲージのメリットとデメリットとして挙げられるのは、次のようなところです。
リバースモーゲージのメリット
- 自宅に住み続けながら、現金収入(融資)が受けられる。
- 自宅は売却することなく、住み続けながら一括もしくは年金のように毎月現金が受け取れることができます。
- 元本を返済する必要がない(月々の利息の返済は必要です。)
- ご自身が生きている間は月々の元本返済は不要です。
- 生活資金以外にも利用できる(自由形の場合)
- 資金使途は生活資金に限らず、自由に活用することができます。
- 借金は相続されません
- 融資債務は、死後に不動産を売却して一括返済しますので、ご遺族に債務は残りません。
※清算後、売却代金の残金がある場合は、ご遺族に返還されます。
- 利用時の条件等が比較的緩やかです
- 利用できる年齢や収入条件等は他の融資などと比べ厳しくありません。
リバースモーゲージのデメリット
- 担保対象となる住宅に制限がある。
- 担保は基本的に土地が対象となりますので、マンションは対象外となる場合がほとんどです。
- 推定相続人の同意が必要
- 利用する際は、基本的に推定相続人(子供など)全員の同意が必要となります。
- 一人暮らし・夫婦でないといけない
- 担保対象の物件への居住は、契約者自身の一人暮らし、もしくは契約者夫婦だけでないと契約できません。
- 長生きによる担保割れ
- 長生きをするほど融資額が増えて借入限度額を超えてしまい、売却後に債務が残ることがあります。
- 金利(融資利息)の上昇
- 変動金利のため、将来金利が上昇すると毎月の支払い額が膨らむ可能性があります。
- 担保物件の価値の下落
- 評価額が落ちると融資限度額も下落し、融資額を割り込んでしまうことがあります。
高齢化社会が進む日本では、住まいを有効活用して老後資金確保できる手段として、近年、リバースモーゲージに参入する金融機関が急増し、市場も日々拡大しております。
金融機関によって取扱商品は様々ですので、上記のメリット・デメリットをご参照いただきまして、各商品の契約内容や利用条件など、ご利される前にしっかり確認することが大切です。