遺贈
「遺贈」とは、被相続人(亡くなった方)が、遺言書を作成し遺言によって、無償で他人(相続人)へ相続財産を与える行為のことを指します。
遺贈によって、相続財産を受け取る人のことを「受遺者(じゅいしゃ)」といいます。
受遺者は法定相続人である必要はありません。
また、被相続人が相続財産を譲りたい相手がいれば、遺言により自由に相続財産を譲り渡すことができるので、受遺者は、個人や法人を問われません。
遺贈は、被相続人の遺言により効力が生じます。
もし、被相続人(遺言者)より先に受遺者が亡くなった場合は、その受遺者への遺贈は無効となります。
その場合、例え受遺者に相続人がいても、相続とは違い、遺贈の権利は相続されません。
もし、受遺者の相続人に遺贈した場合は、遺言の内容に『被相続人(遺言者)より先に受遺者が亡くなった場合は、受遺者の相続人へ遺贈する』のように補足で記載しておきましょう。
なお、遺贈は相続の場合と同様に、受遺者(遺贈を受けた者)は、遺贈を承認して受けるか、遺贈を放棄(受けないか)するかを選択することができます。
遺贈の種類
遺贈には『包括遺贈』と『特定遺贈』、『負担付遺贈』の3種類があります。
- 包括遺贈
- 「包括遺贈」とは、例えば「相続財産の○○%(割合)を、Aさん(遺贈される人)にあげる」といった感じに、遺贈する財産を具体的に指定せずに、相続財産の配分割合を指定して行う遺贈のことをいいます。
- 特定遺贈
- 「特定遺贈」とは、例えば「東京都目黒区○○1丁目×番地の土地(具体的な財産)をBさんにあげる」といった感じに、遺贈する財産を具体的に指定して行う遺贈のことをいいます。
- 負担付遺贈
- 「負担付遺贈」とは、例えば「高齢の妻の介護をすることを条件に財産をあげる」といったように、遺贈者が受遺者に対して何らかの義務を負担しさせて、その義務が履行されることを条件として財産の遺贈を行うことをいいます。
負担付遺贈が行われた際に、受遺者がそのような義務を負担したくなくて遺贈は受けたくない場合は、受遺者は負担付遺贈を放棄することができます。
負担付遺贈を放棄した場合、もちろん相続財産を受けとることはできませんが、義務も果たす必要はなくなります。
その遺贈については、負担の利益を受けるべき人が、代わりに遺贈を受けることができます。
遺贈の際の税金について
- 相続人以外の人へ遺贈すると、「相続税が2割増し」になりますので注意が必要です。
- 相続人以外の人へ不動産を遺贈した際の、不動産の登記をする際の登録免許税は、相続人(固定資産税評価額の0.4%)の5倍(固定資産税評価額の2%)になります。
なお、「負担付遺贈」を行う際は、受遺者が遺言通りの義務を履行するかを見守るために、遺言執行者を指定しておくと良いでしょう。
遺贈には注意しなければならない点が多々ありますので、遺贈を行う際に遺言書を作成する場合は、弁護士や司法書士などの専門家に相談しながら作成することをおススメします。