本山納骨について、お教えします

墓地・霊園

 終活の一環として、お墓の継承者がいない人は、お墓を整理する「墓じまい」をしなければならない場合がございます。

その墓じまいをするためには、お墓に納骨していたご遺骨を改葬(引越し)する必要があり、その納骨先として、宗派の本山(本尊)に埋葬する「本山納骨(ほんざんのうこつ)」を選ばれる方もおられます。

 今回は、その「本山納骨」について、解説させていただきます。

「本山納骨」とは、各仏教宗派の本山(本尊)に、ご遺骨を埋葬して供養する、古くから日本で行われている葬送方法のことです。
平安時代の終わりごろ、仏教の各宗派の宗祖や開祖を慕う信徒を、宗派の本山(本尊)に納骨(合祀)したとともに、経済的な理由などでお墓を建てられない方や、戦死者や旅の途中で行き倒れた方のために、社会貢献の一環として、納骨が行われたのが始まりのようです。

ご遺骨を分骨して一部を納めることが多いようですが、すべての遺骨を納める全骨納骨をされる方もおられます。

本山納骨のメリットは、主に下記の3つになります。
●宗派の本山なので安心感が高い
宗祖や開祖が眠っている本山で手厚く供養してもらえるので、安心です。
また、本山なので将来の運営面にも心配はいりません。

●納骨費用が抑えられる
永代供養墓(合祀墓)や納骨堂などと同じように、合祀されるため個別の墓石を建立する必要がないので、納骨は数万円から可能です。
年間の管理料やお布施なども必要ないことが多いので、費用を大幅に抑えることができます。

●宗旨や宗派が問われない場合が多い
納骨できるのは宗派の信徒であることが条件の寺院もありますが、故人の宗旨・宗派が本山の宗派と異なる場合でも、申し込めば本山納骨できるところも多いようです。

本山納骨を検討されている方は、下記の件について事前に確認しておきましょう。
・入檀(信徒となること)が条件のになっているか?
・ご納骨は分骨のみか、それとも全部納骨もできるか?
・ご納骨後に、費用は必要なのか否か?
・納骨後に参拝する際は、時間などの規制があるか?

 最近、一般的なお墓よりも費用が安いという点と、寺院が責任を持って永代にわたり供養してくれるという点で、お墓の改葬(引越し)先として選ばれる方が増えております。
しかし、本山納骨では、合祀(他の人のご遺骨と一緒に埋葬)されることが多いので、一旦埋葬(合祀)されると後で個別にご遺骨の取り出しはできないので、将来的にご遺骨を取り出し改葬(ご遺骨の引越し)する可能性がある方は、本山納骨は不向きです。

 各宗派の本山の寺院は全国各地に数多くありますが、すべての本山寺院で本山納骨を受け入れてくれるわけではありません。
また、納骨の条件は各寺院によってさまざまですので、納骨される前にきちんと問い合わせましょう。

 今回は、墓じまいの方の納骨先として今注目を浴びている「本山納骨」について解説させていただきました。
皆さまの終活の一環として墓じまいをされる場合は、選択肢としてご検討されてみてはいかがでしょうか。
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