終活の基本をお教えします

終活全般

 最近、マスコミなどで取り上げられことが多くなった「終活」という言葉。
その言葉の意味は知っていても、「どうやって終活を進めていいのか?」分からない方が多いと思います。

 そこで令和2年の最初の記事は、原点に立ち返り、終活の基本である、「終活で、最低限しておきたいこと『終活の基本』」について解説させていただきます。

 終活とは、自分が他界した後に遺された家族の負担になりそうなことを、生前に積極的に準備して決めておくことで、残りの人生をより自分らしく生きていくための活動のことをいいます。

 終活でやらなければならないことは、葬儀やお墓の準備、相続問題の解決、生前整理や介護や医療について決めておくなど多岐にわたります。
終活ですべきことに決まったルールはなく、人により内容は様々ですが、「終活として最低限やっておきたい(終活の基本)」は下記になります。

【エンディングノートを作成しましょう】

 まず最初に、終活の基礎となるエンディングノートを書くことから始めましょう。
エンディングノートとは、自分が亡くなった後や、病気などにより意思疎通が困難になったときに備え、家族にかかる負担を減らすために、事前に家族やまわりの人々にご自身の希望や想いを整理し伝えたいことを書き留めておくノートや手紙のことをいいます。
決まった書式や内容はないので、あなた自身が必要だと思うことや気がかりなことを記載しておきましょう。

【エンディングノートで書いておくべきこと】
1、ご自身について
・名前、生年月日、住所、本籍地、血液型、住民票コード、マイナンバー、基礎年金番号、保有している資格、学歴、職歴、結婚、夫婦の記念日、出生地、幼少期から各年代の思い出、趣味や特技ほか
2、関係する人物の連絡先
・家族、兄弟、親戚、養子、家系図、友人、知人、職場関係者、法的関係の相談者など
3、契約関係
・水道・ガス・電気などの契約情報、電話や携帯の契約内容、インターネット関連のアカウント情報など
4、財産について
・預貯金(口座番号)、クレジットカード情報、各種加入保険、有価証券や金融資産、不動産、借入金やローン、骨董品など
5、介護や医療について
・常用している薬、アレルギーについて、希望する医療・介護施設、延命措置、臓器提供、検体について、介護や治療方針と決定者指定、後見人の希望(財産管理などを任せられる人)など
6、葬儀について
・宗派や宗教、戒名や法名、希望の葬儀の規模(一般葬、家族葬、一日葬など)、葬儀業者や会場、遺影写真、参列者リスト、喪主に頼みたいことなど
7、お墓について
・希望の墓地、埋葬方法、墓地の継承者について、供養方法やお供え物など
8、その他
遺言書の有無、それらの保管場所、形見分け、ペットについて、家族や友人に対し、感謝の言葉や最後に伝えたいことなど
※家族へのメッセージなどは、写真や動画で残すのもいいでしょう。

 書きたいことを全て書ききれなくても問題はないので、今書けるところから少しずつ書いていきましょう。

 エンディングノートを書くことで、自分が伝えたい思いや終活ですべきこと、終活で早めにしなければならないことなどが自然に分かってきます。
なお、エンディングノートは、基本的に他の方に見られる(誰が読むか分からない)ことが前提ですので、内容はわかりやすく書くことはもちろんのこと、その存在自体をご家族に知らせておくことが大切です。

【生前整理(断捨離)をする】
 自分が他界した後に遺されたご家族が、相続問題や自宅問題などで困ったり争ったりしないように、終活の一環として生前中に財産や住空間などで不要なものを整理することを「生前整理」と言います。

 エンディングノートを書くことで、ご自身の所有物や財産の処分の仕方を確認することになりますので、その流れで、ご自宅の不用品の片付けや財産などの整理を進めましょう。

 最初に、ご自身の身の回りに不要なものが無いか見直してください。
家の中が不要なもので溢れていると、思わぬ怪我の原因になることもありますので、何年も使っていないようなものがあれば、できるだけ捨てるようにしましょう。

 エンディングノート作成の時にご自身の財産がどれだけあるのか把握し、常日頃から老後の費用とご自身の財産を把握し整理しておくことも大切です。
生前整理でいらない物を積極的に断捨離することで、家の中の物がスッキリとすると同時に、必要なものと不必要なものが整理することで、その後の人生を身軽に快適に過ごしていくことができます。

 また、不要や荷物などを整理することで生活スペースが改善され、安全で健康的な生活を送ることができます。
生前整理は急に片付け始めるのは大変なので、元気で体力のあるうちに、毎日少しずつ片づけることをおススメします。

【遺言書を作成する】
 ご自身が他界した後に、遺された愛する家族同士が、遺産相続問題で争うことは避けたいものです。
そうならないためには、生前に「遺言書」作成しておくことが大切です。 

 遺言書には、「自筆証書遺言」と「公正証書遺言」、「秘密証書遺言」の3つの形式がありますが、法的に確実にしたいなら公正証書遺言を選択するのがいいでしょう。

 なお、遺言書は内容に不備があると無効になりますので、遺言書を作成する際は弁護士などの専門家に依頼した方が安心です。

【お墓の準備】
 ご家族を亡くした後、葬儀の準備や参列者の対応、後片付けや遺品整理など、ご遺族にかかる体力や精神面の負担は計り知れません。
そこで、お墓だけでも生前に準備しておけば、残された方達の負担を軽減することができます。

 また、生前に建てられたお墓は「祭祀財産」となるため、通常故人の財産を受け継ぐと課税されるであろう相続税が免除されるため、ご遺族の相続税の負担も軽減できます。
さらに、生前にお墓を建てることで、墓地の場所の選定や、お墓のデザインや石材など妥協することなく、ご自身が納得できるお墓を建てることができます。

 上記のように、生前にお墓を建てることは様々な面でメリットがあるため、最近、需要が増えております。

【葬儀の備え】
 あなたが突然お亡くなりになられた場合、遺された家族は葬儀について「どこでどんな形の葬儀にするのか」決めなけれならず、大きな負担をかけることになります。
そんなことにならないよう、終活の一環として、葬儀の準備を事前に行っておくことが大切となります。

 葬儀の準備としては、下記のことをエンディングノートなどに記載して書き残しておくと良いでしょう。
・どんな葬儀にしたいか(仏教なら宗派など、キリスト教式か?神式か?)
・葬儀のプラン(一般葬や家族葬、密葬など)や費用など、詳細をどうしたいのか
※具体的に希望の葬儀社があれば、葬儀社名など
・誰に参列してもらいたいか。
(参列して欲しい方の、氏名・住所・連絡先などを明記。※関係性も明記しておくことが大切です)

・遺影で使って欲しい写真があるなら、保管場所を明記しておく
※遺影写真は、葬儀だけでなく、仏壇や部屋に飾るなど、後々まで多くの人が目にすることになりますので、遺影用の画像を事前に撮影したりして準備する方が増えております。

 昨今、ご自身が思い描く理想の葬儀をしたいという考えから、ご自身が元気なうちにご自身で葬儀を契約される生前契約(予約)をされる方が増えております。

 なお、葬儀の生前契約で料金の支払いをする場合は、葬儀会社の倒産などのリスクがありますので、葬儀後に費用を支払うか、もしくは生前契約時に信託会社を利用するのが安心です。 

終活でやるべきことは、他にも「終の棲家の選定」「老後生活資金の確保」「保険関係の再検討」「シニア旅行へ行く」など、多岐にわたりますが、まずは、上記に記載した5つについて確実に準備しておくことが大切です。

 終活で何から始めていいのか分からない場合は、エンディングノートに「お墓について」「葬儀について」の希望など、あなた自身が希望する内容を書いてみることでやらなければならないことが明確に見えてきますので、まずは、エンディングノートを書くことから始めてみましょう。

 「終活のすすめ」では、今後も終活の基本から全てまで様々な分野について解説させていただきますので、終活について何かお分かりにならないことがありましたら、ご参照いただけると幸いです。
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