一人暮らしの方(おひとりさま)の終活の必要性について

終活全般

 近年、少子高齢化と核家族化が進み、熟年離婚をする率も高まっているなどの理由で、一人暮らし、いわゆる“おひとりさま”が増えております。
「おひとりさま」の増加に比例し、孤独死される人も増えてきているのが実状で、そうならないために、万が一に備え早めに終活を考える必要性があります。 

 そこで今回は、一人暮らし(おひとりさま)の方が必要な終活について解説したいと思います。

 一人暮らしの方が突然お亡くなりになられた場合、周囲の方に多大な迷惑をかける可能性があります。
そのようにならないために、一人暮らしならではの終活を行うこと大切です。
そこで、一人暮らしの方(おひとりさま)は、どのような終活はことをやればいいのかを、具体的に挙げていきましょう。

身の回りのことを整理する
 まずは、ご自身の身の回りに不要なものが無いか見直してください。
遺品整理の際、不要なものが多いと大変なので、何年も使っていないようなものがあれば、できるだけ捨てるようにしましょう。

 家の中が不要なもので溢れていると、思わぬ怪我の原因になることもあります。
物品への執着を捨てて、不要なものを積極的に減らす(断捨離)ことにより、生活しやすい環境が整い、心身ともに平穏で快適な生活を送ることが出来ます。 

 急に片付けするのは大変なので、元気で体力のあるうちに、毎日少しずつ片づけることを習慣にして取り組んでおくことをおススメします。

財産の整理をおこなう
 老後の一人暮らしは、日常の生活資金の他に、介護や医療の費用など、思っているより資金が必要となります。
また、お亡くなりになられた後の葬儀の費用やお墓の用意なども必要となりますので、ご自身の財産がどれだけあるのか把握し、常日頃から老後の費用とご自身の財産を把握し整理しておくことも大切です。

 なお、財産は預貯金だけでなく、不動産・金融資産(有価証券など)や貸付金、クレジットや各種保険、貴金属・骨董品など様々です。
 クレジットカードや使っていない銀行口座などは出来るだけ解約し、必要最小限にしておくことで、解約時の手続きの緩和や不正利用などのリスクを減らすことができます。

エンディングノートを作成する

 エンディングノートとは、もし突然、あなたが病で亡なられたり、意思の疎通が取れなくなったりした時に備えて、事前に周囲の人々に自身の希望や想いを整理し伝えたいことを書き留めておくノートや手紙のことをいいます。

記載する内容は、ご自身のプロフィールや現在の健康状態、延命措置や検体をしたいかどうかといった医療面のことや、介護の方法、葬儀やお墓についての希望、財産がどこにどれくらいあるのか、どこになにを保管しているのかなど、気がかりなことなどを記載します。

 なお、エンディングノートには正式な形式なく市販のノートに書いてもいいですし、WordやExcelを使って作成するのもいいでしょう。 
身の回りを整理する時に、一緒に作成してみてはいかがでしょうか。

遺言書を作成する
 一人暮らしの方(おひとりさま)が孤独死をした場合、その方の財産は一定期間内に相続人が現れない場合には、国のものとなります。
もし、財産を相続させたい方がいらっしゃる場合は、しっかり遺言書に残しておく必要があります。 

 遺言書は法的な効力のある文書ですので、決まった書式・形式で書くことで有効とされますので、ご自身が元気なうちに作成しておくことが大切です。

お墓(供養方法)を決めておく
 亡くなった後に入るお墓が既にある方は心配ないですが、まだ「亡くなった後にどこのお墓に入るのか」決まっていない方は、事前に決めておくことが大切です。
先祖代々のお墓や新しく建てたお墓に入るという選択肢もあれば、以後の手間がかからない納骨堂などの永代供養墓や樹木葬、散骨といった新しいお墓のスタイルの選択肢もあります。

 お墓は供養や管理など後世の方の負担となりますので、その辺りを考慮し慎重に選ぶことが大切です。 

葬儀や納骨は誰がおこなう?
 一人暮らしの方が亡くなった場合、身寄りのご家族がいるのであれば、その方たちが葬儀から納骨まで執り行ってくれますが、全く身寄りのない方がお亡くなりになられた場合は、通常は一般的な葬儀が行われません。

そういった場合は、自治体が「行旅病人及行旅死亡人取扱法」という法律に基づいて、その方が亡くなった自治体のが火葬のみが行なってくれます。(一般的な葬儀と違い、僧侶による読経などはありません) 

 火葬が終わった後のご遺骨は、もしご親族の方がいらっしゃる場合ば、その方のもとに返還されます。
しかし、まったく身寄りのない場合は、自治体の方で一定の管理期間(通常は5年間)保管し、期日が過ぎると無縁仏という扱いで無縁墓に埋葬されます。
上記のようになりたくない方は、次に紹介する「死後事務委任契約」を利用することをおススメします。

死後事務委任契約を利用する
 一人暮らしの方で、お亡くなりになった後の「病院の清算や役所への届け出、葬儀の手配や納骨」など、頼める方がいらっしゃらない方も少なくありません。
そんな方には、「死後事務委任契約」という制度の利用をおススメします。
 
 「死後事務委任契約」とは、ご自身がお亡くなりになった後の、葬儀の執り行い、役所へ諸届け、病院や公共費用の支払い、クレジットカードなど諸契約の解約などの事務的な手続きを、生前にあらかじめ信頼できる人を見つけて、依頼しておくことができる制度です。

 依頼する相手は、身近で信頼できる親戚や知人・友人の場合や、司法書士・弁護士等の法律の専門家に依頼することも可能です。
契約の形は必ずしも公正証書である必要はありませんが、委任者の死後に実行するため、後々トラブルにならないように契約は公正証書にした方が安心です。

死後事務委任契約を利用することで、死後に周りに迷惑をかけることなく最期を締めくくることができます。

任意後見人制度を利用する
 上記の「死後事務委任契約」は、お亡くなりになった後の諸手続きを依頼できる制度ですが、生きているときに諸手続きをお願いする制度もあります。
その制度は「任意後見人制度」と呼ばれ、将来、判断能力の低下などが原因でご自身で財産管理を行ってことが不可能になったときに備える、国が設けている後見制度の1つです。

本人がまだ判断能力があるうちに、財産管理や介護・医療などの利用にまつわる事務手続きなどを、信頼できる特定の方に後見人になってもらい代行してもらうために、公的な書面にて契約をします。

 もし、将来判断能力が衰えるなど万が一の事態が起こった時に備えておくことができます。

一人暮らしであることを、役所に伝えておく
 役所(自治体)に一人暮らしであることを知らせておくことで、訪問や在宅生活の支援を受けられる場合もあります。

見守りサービスを利用する
 見守りサービスとは、一人暮らしの介護の必要のない高齢者のご自宅へ、定期的に安全確認を行ってくれるというサービスで、各自治体の福祉サービス事業のみでなく、民間の企業や郵便局でも見守りサービスを拡充させています。

見守りサービスを利用することで、容易に一人暮らしをしている高齢者の安否確認ができるとともに、異常があれば気が付くことができます。

 一人暮らしの方(おひとりさま)の終活は、孤独死のリスクを減らすことと、万が一の時に周りの方に出来るだけ迷惑が掛からないように備えておくことが大切です。

また、ただ単純に亡くなった後に対する備えだけでなく、最期を迎えるときまで幸せで豊かな生活をおくるための活動でもあります。
まだ健康で元気なうちに、少しずつ終活をおこない、老後生活を快適なものにして今後の人生を楽しみましょう。  

 今回は、「一人暮らしの方(おひとりさま)がしておきたい終活」について解説させていただきました。
皆さまの終活のお役に立てましたら幸いです。
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