都市部は深刻なお墓不足。
解決策の一つは「納骨堂」

墓地・霊園

 厚生労働省の推計によると、最も年間死亡数の多いと予想される2040年の年間死亡者数が約167万人と、2015年の年間の死亡者数が約131万人にたいし年間36万人も大幅に増える見込みです。
死者数の増加にともない、埋葬についての問題が懸念されてくることでしょう。
とくに、東京を中心とした大都市圏とその周辺部では、きちんとした埋葬場所「お墓」が確保できるのかどうか不安が募ります。 

 都内の墓所の需要は、2008年時点で年間約2万基程度とされていますが、20年後の2028年には約3万基程度になると推測されております。
しかし、東京都内で供給されている墓所数の試算は、年間6千基程度と推計されており、需要に対して供給量がはるかに少なすぎる状態となっております。
その原因として考えられるのは、都心回帰による都心部への人口の集中化により都市部でお墓を探す人が増えていることと、東京都における墓地に必要な土地の不足、さらに東京オリンピック開催による都市部の土地代の高騰などが挙げられます。

 墓不足により、東京都内の「お墓」の平均価格は、永代使用料と墓石代を含めると250万円を超えると言われております。

 需要増加が見込まれるなら、墓地を増やせばいいと考えるのが普通ですが、どうしても墓地の増設が進まないない理由があるようです。

その理由の一つが、墓地・霊園の経営母体に求められる基準が厳しかったり、墓地の立地にも厳しい条件があるなど、墓地を新設する際の規制が厳しいということです。
また、墓地・霊園の新設に際し、どうしても近隣住民からの同意が得ずらいということも、墓地の増設が進まない要因となっております。

 そこで、墓不足を解消する方法として、最近都心部では、「納骨堂」の建設が増加しております。

 納骨堂の新規設置にかかわる法規制は、墓地に比べて厳しくなく、また、納骨堂は見た目もビルタイプが多いため、墓地と判断しづらく近隣住民からの苦情も出にくいようです。

お墓の費用も、従来の一般的なお墓は墓石や永代使用料などを合わせて費用が250万円以上と高額でしたが、納骨堂の場合、永代供養費などを含めても50万円程度(1人用)と、お墓に比べて大幅に費用が安いということで、利用される方が増えているようです。

 納骨堂のスタイルは様々で、「ロッカー式納骨堂」をはじめ、納骨堂の建物のなかに墓石を置くタイプの「墓石型納骨堂」や、上段に仏壇や位牌・下段には遺骨を置くスペースがある「仏壇型納骨堂」など、さまざまなタイプがあります。

 最近では、ロッカー式が進化した、ICカードやパネルを活用した最新式の「自動搬送式納骨堂」という新しいタイプの納骨堂も増えてきており、屋内なので天気を気にする必要が無いことと、お墓の掃除も不要であるということから人気が高まっているようです。

 また、納骨堂はどのタイプも基本的に永代供養となっているため、永代に渡りお墓の管理者が供養・管理してくれるので、お墓の継承者の心配はいりません。

しかし、ここで言う永代は「未来永劫」という意味ではなく、33回忌までなどの一定の期間個別で供養したあとは、ご遺骨は取り出され他の方のご遺骨と一緒に合祀されるので、注意が必要です。

 詳しくは、納骨堂をはじめとした様々なお墓や墓地・霊園については、お墓のページでご紹介しておりますので、そちらをご覧ください。

 今回は、お墓不足の解決方法の一つである「納骨堂」についてご紹介させていただきました。
皆さまの終活にお役立ていただけると幸いです。
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