終活として最初にやるべきこと その2

終活全般

 前回の記事では、「終活として最初にやるべきこと」として、まず最初に、終活の基本でもある「エンディングノートの作成」について、解説させていただきました。

 今回も引き続き、数が多くの「終活としてやらなければならないこと」の中から、先に着手した方が良い「生前整理」「遺言書の作成」について解説させていただきます。

 終活の一環として、まず最初に「エンディングノートの作成」をされたら、次に着手したいのは「生前整理」です。
「生前整理」は一人でできることですし、以後の生活環境や心理状態の改善にもなりますので、終活でやることとしては、ぜひ早めにやられることをおススメします。

「生前整理について」
 もし、あなたが何の準備もなく突然お亡くなりになられた場合、ただでさえ葬儀や納骨などで大変なところに、さらに遺品の整理作業を行うことは、遺された家族にとって、時間・体力・精神的にとても大変な負担となります。
 そうならないために、予めご自身で身の周りの物を「生前整理」しておくことで、ご遺族が死後に行なう遺品整理の手間や費用が軽減されるので、家族の負担を大幅に減らすことができます。

 「生前整理」でいらない物を積極的に処分(断捨離)することで、家の中の物がスッキリとすると同時に、気持ちが晴れやかになりストレスが軽減されます。
また、必要なものと不必要なものが整理でき、その後の人生を身軽に快適に過ごしていけます。

 さらに、不要や荷物などを整理し生活スペースが改善されることで、転んで骨折するなどの思わぬ怪我が防げるなど安全で健康的な生活を送ることができます。

 また、生前整理の対象は、不用品や財産などだけではなく、デジタル遺品(パソコン・スマートフォンのデータ、SNSのアカウント、電子口座など)や、人間関係もその対象となります。
ご家族と共通の知人など、今後も関係が必要だと判断した人は残し、今後付き合う必要がないと判断した相手と縁を切っておけば、後々人間関係で余計なトラブルも起こりにくくなりますし、不要な交友費の削減にも繋がります。

 生前整理をしていると、過去のことが思い出されます。今まで過ごしてきた人生を振り返りながら気持ちや部屋を整理することで、心機一転リフレッシュされ、心が軽やかに新たに人生の再スタートを切ることができることで、余生をより充実したものにできます。

「エンディングノート」の作成と「生前整理」が終わると、ご自身の資産などが把握できるますので、出来ればその流れで、次に「遺言書の作成」も行っておきたいものです。

「遺言書を作成する」
 あなたがお亡くなりになられた後、愛する大切なご家族同士が遺産などの相続問題で争わないためにも、遺言書を作成し残しておくことは、終活としてやっておかなければならない大切なことの一つです。

 遺言書を作成する上で重要なことは、遺言書は、ご本人の『身体と心(精神状態)が元気なとき』で、『遺言能力』がなければ、遺言書を作成することができません。
もし、認知症になったり、不慮の事故に遭遇し判断能力が低下してきたりすると、遺言書を作成すること自体が不可能となってしまうのです。

そうならないために、遺言書はご自身がまだ元気なうちに出来るだけ早めに作成することが大切です。

 なお、遺言書は決まった形式で書かなければ法的に無効になってしまい遺言自体が実行できなくなりますので、法律で定められた形式で正確に作成することが大切です。

 遺言書の作成方法は、主に「自筆証書遺言」「公正証書遺言」「秘密証書遺言」の3つ方法になります。

「自筆証書遺言」
 自筆遺言書とは、自筆で遺言書が作成できる最も簡単な方法で、「その全文、日付及び氏名を自書し、これに印を押さなければならない」と、民法968条に規定された遺言方法の一つです。
※2019年1月13日に制度が改正され、「遺言書に添付する『財産目録』は、パソコンなどの自筆(手書き)でないもので作成できる。」ことになりました。

自筆証書遺言書のメリットは、ご自身が手書きで簡単に作成できるので、費用はかからず手軽であるということろですが、半面、遺族は、遺言書としての正しい内容になっているかの判断を仰ぐために、家庭裁判所の「検認」という手続きを受ける必要があったり、法律で定められた要点が欠けてある場合は無効になるなどリスクがあります。

 なお、上記のリスクを解消するために、「法務局における遺言書の保管等に関する法律(以下「遺言書保管法」といいます)」が2020年7月10日から施行され、一定の様式で作成された自筆証書遺言の遺言書を、法務局が遺言者等に代わって保管してくれる「自筆証書遺言書保管制度」という制度が創設されました。

 この制度が施行されたことで、法律(遺言書)の専門家が遺言書の内容を確認してくれるので、書式(方式)の不備による遺言の無効を回避することができます。
また、保管時に遺言書保管官が内容の確認を行っているため検認は不要となり、相続実行時の負担が軽減されます。 

「公正証書遺言」
 公正証書遺言は、遺言者が2人以上の証人と一緒に公証役場へ行き、証人立会いのもとで、公証人が口頭で遺言の内容を聞き取り遺言書を作成してもらう遺言のことです。
他の遺言形式と違い無効になりにくく、公正役場で作成し管理されるため偽造の心配もありません。
遺言書の原本は公証役場に、正本と謄本は本人の手元に保管しますので、紛失の心配ありません。

 公正証書遺言書は、無効になりにくく紛失の心配もなく、家庭裁判所の検認も不要というところがメリットですが、作成の際に手数料がかかることと、遺言書の存在と内容を公証人や証人に知られてしまう点がデメリットと言えます。

「秘密証書遺言」
 秘密証書遺言とは、遺言者が遺言内容を誰にも知られずに秘密にしたまま、存在のみを公証人と証人に証明してもらう遺言書で、遺言者が自分で作成します。
本人以外の相続人、公証人や証人は内容を見ることができないので、遺言内容を「秘密」にすることができる遺言書の形式です。

 自筆証書遺言との違いは、署名だけを自署し押印さえすれば、遺言書の本文はパソコンを使ったり代筆してもらったりしても問題のないところです。
遺言者が封筒などに入れ遺言書自体を印鑑で封じた遺言書を持って、2人以上の証人を連れ公証役場に行き、証人とともに公証人の前で署名押印することで、秘密証書遺言の手続きは完了となり、遺言書は遺言者自身で保管します。

 秘密証書遺言は、遺言の内容を秘密にしておくことが出来ることと、遺言者の死後に、遺言書が発見されないケースを防ぐことができることがメリットですが、遺言の「内容」を公証人が確認をしないので、遺言としての要件が欠けており遺言が無効となってしまうリスクがあります。
 また、自筆証書遺言と同様に、相続発生後は家庭裁判所にて検認の手続を受けなければなりません。

 どの遺言書方式でも、内容の不備などにより遺言が不実行になりご家族が辛い思いをしないためにも法律の専門家である弁護士の助言をもらい遺言書作成し、可能なら遺言の執行まで準備しておくことが大切です。 

 他にも終活として、葬儀やお墓の準備などはやっておきたいことですが、全てやろうとすると、途中でつかれてしまい中途半端になる人は少なくありません。
そこで、まずは終活として、手始めに「エンディングノートの作成」「生前整理」から始めてみて、余裕があれば「遺言書の作成」を行うことをおススメします。

 本日は、「終活として最初にやるべきこと」として、「生前整理」「遺言書の作成」について解説させていただきました。
あなたが終活を始めようとお考えの際に、ご参考にしていただけると幸いです。
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