「墓守(はかもり」とは
墓地・霊園
先祖からのお墓(家墓)を継承して管理していく人の事を「墓守(はかもり)」と呼ばれ、何となく聞いたことがある方も多いと思います。
しかし、その「墓守」になった人は何をするのか、具体的に知っている方は多くないと思います。
そこで今回は、その「墓守は誰が決めるのか?」や「墓守はどういうことをしなければならない」など、「墓守」について詳しく解説したいと思います。
墓守とは、文字通りお墓を守る役割がある人、主にお墓の承継者(祭祀承継者)のことを指しており、お墓を管理する人を「墓守」と呼びます。
それ以外にも、お墓の承継者の代わりにお墓の管理や掃除をする人や、墓地や霊園全体の管理や清掃に従事する人(職員)などを「墓守」と呼ぶこともあります。
2つの「墓守」ともに、基本的に墓所の世話(管理)をすることに変わりませんが、具体的にする内容には違いがあります。
「墓守の仕事内容」
【お墓の承継者(祭祀承継者)が墓守の場合】
お墓の承継者が墓守の場合の仕事内容は、お墓の管理、年中行事への参加、お墓の管理・維持費の支払いなどです。
お墓が寺院にある場合は、墓守として毎年の「お彼岸」や「お盆」など年中行事などへ参加して、法事の施主などを務めなくてはなりません。
檀家としての法要の時には、戒名やお布施などの費用の支払いをしなければなりません。
お墓が宗教性の少ない霊園にある場合は、年に数回のお参りとお墓の掃除を行わなければならない事と、お墓の維持費・管理料の支払いをしなければなりません。
【寺院墓地や霊園の管理人が墓守の場合】
寺院墓地の場合は、一般的にはご住職やお手伝いの方(寺男と呼ばれている)などが、墓域の清掃などを行ってくれます。
墓所によっては、檀家さんが交代で行っているところもあるようです。
霊園の管理人が墓守の場合は、霊園の管理人が、墓域の清掃や管理、共同設備のメンテナンス、法事・法要のときの埋葬や仏花、会食の手配などを行なってくれます。
「墓守(祭祀承継者)の決め方」
従来までお墓の承継は「お墓は長男が継ぐもの」というイメージがあり、民法でも、基準が条文に定められております。
第897条
系譜、祭具及び墳墓の所有権は、前条の規定(相続の一般的効力の規定)にかかわらず、慣習に従って祖先の祭祀を主宰すべき者が承継する。ただし、被相続人の指定に従って祖先の祭祀を主宰すべき者があるときは、その者が承継する。
2 前項本文の場合において慣習が明らかでないときは、同項の権利を承継すべき者は、家庭裁判所が定める。
上記民法を解釈すると、民法が定める「墓守になる順番」としては、①遺言で指定された人、②慣習によって決められた人、③家庭裁判所で定められた人、となるようです。
しかし、この②の慣習によって決められた人の解釈を拡大すると、『地域や家族、親族間などの事情を考慮して、その都度決めましょう」という程度に受け取れるので、結局のところ、祭祀財産は誰が承継しても構わないということになります。
その考えから、最近では「両家墓」や「個人墓」、「墓友」などのスタイルが多くなった影響もあり、『祭祀承継者=長男』ではなく、長女や次男などが祭祀承継者となり、墓守となるケースも多く見受けられるようになりました。
「お墓の承継者がいない場合の墓守は?」
お墓を承継してくれる人がいない場合は、永代供養してくれるお墓を選びましょう。
永代供養のお墓とは、寺院や霊園の管理者がお墓や故人の遺骨を引き受けて、ご家族に代わって永代にわたって供養してもらうえるお墓です。
例え墓守がいなくても無縁墓になる心配がなく、永代に供養をしてもらえる方法です。
(ここでいう永代とは「未来永遠」という意味でなく、33回忌までなど決められた期間まで個別で供養してもらい、期間が過ぎるとご遺骨は合祀墓に移され、他の方と一緒に永遠に供養されます)
お墓がすでにある場合でお墓の承継者がいない場合は、お墓のある墓地の寺院や霊園に永代供養を依頼しましょう。
永代供養にした後のお墓や遺骨の管理は、一定期間まではお墓を残した状態で供養をしてもらえるケースや、永代供養にした時点でお墓からご遺骨を取り出すケースなど、寺院や霊園により対応が異なるようですので、お墓のある寺院や霊園に直接ご確認することが大切です。
墓守とは長男だけがしなければならない仕事と決まっているわけではなく、最近では、家族構成や住居などの事情により、次男や他の家族、親族などが引き受けるケースも多くあるようです。
あくまでも大切なのは、故人をしっかりと弔えるよう、ご家族と親族できちんと話し合い、墓守される方を決めることが大切です。
今回は、「墓守(はかもり)の仕事内容」や「誰が墓守になるのか」などについて解説させていただきました。
この記事が、皆さまの終活のお役に立てましたら幸いです。
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