寺院墓地のメリットとデメリットについて

墓地・霊園

 昨日は、経営主体の違いによって分別される3種類の墓地(霊園)の、「寺院墓地」と「公営墓地(霊園)」、「民営霊園(墓地)」のそれぞれの違いと各々の特徴について解説させていただきました。

そこで今回は、3種類の墓地(霊園)の中の「寺院墓地」にスポットを当てて、メリットとデメリットについてご紹介させていただきます。

 寺院墓地とは、寺院が運営・管理している墓地のことです。
基本的には、お寺の境内に墓所がある場合が多いですが、最近では郊外に墓所を造成しているお寺も増えてきているようです。

 寺院墓地にお墓を建てる(購入する)場合は、お寺の檀家となり、宗旨・宗派はその寺院の所属に従っていくのが一般的です。

寺院墓地のメリットととして、主に下記の点が挙げられます。

〔寺院墓地のメリット〕
管理・供養が安心
 寺院墓地は、寺院が直接経営しておりますので、お墓の管理面は万全です。
また、日頃から僧侶の回向が受けられることや、葬儀から法要まで、一切の供養をお任せできるなど、供養も手厚く行ってもらえるので安心です。

お寺と深い繋がりが持てる
 お寺でお墓を建てると、運営をしているお寺にお墓の管理をお願いできるだけではなく、お墓や供養などの相談に乗ってもらえるなど、お寺と直接繋がりを持つことができます。
供養や宗教上のことで分からないことがあった場合、直接、宗教の専門家である僧侶(住職)に聞けることはとても心強いことです。

法要が楽です
 檀家になることで、すべての法要をその寺院内で執り行うことができるので、法要の際の寺院と墓地と寺院の行き来が楽になります。

交通の便が良い
 寺院墓地は数が多いため、住宅地から近いところや交通の便が良いところに立地していることが多いです。

〔寺院墓地のデメリット〕

宗旨・宗派の制約がある
 寺院墓地の場合、基本的にお墓を購入した際はその寺院の宗教・宗派に改宗する(檀家になる)ことが前提となっておりますので、無宗教・無宗派の方は注意が必要です。
※最新の寺院では、檀家制度を設けていないところもあるようです。
寺院の檀家になると、檀家としての務めとして寺院の行事や奉仕活動の参加などの協力を求められることになります。

費用が比較的高い
 寺院墓地の場合、お墓を建てる際に、お墓を建てるための実費用と別に、檀家となるための入檀料を支払う必要があります。
また、その後も、寺院を維持するための護持会費(維持費)やお布施、寄付金などの金銭の負担を求められることがありますので、公営墓地や民営墓地と比べ負担する費用が高めとなってしまう場合が多いです。

お墓のデザインの自由度が低い
 最近の寺院墓地は、従来の和型だけでなく、洋風のお墓やデザイン墓の設置を許可するところが増えてきているようですが、しかし、まだ旧来の和型のみの使用に限定しているところが多く、墓石を選ぶ際も、寺院側から石材店を指定されることも珍しないようですので、公営墓地や民営霊園と比べ、お墓のデザインの自由度は低いでしょう。

サービス(管理・運営)の質が低い場合がある
 寺院墓地は自主営業・運営のため、サービス(管理・運営方法)内容が規格化されているわけではないので寺院により差があるため、公営墓地や民営霊園などと比べてサービスの質が低い場合があります。

 上記のメリットとデメリットを考慮すると、下記のような人が「寺院墓地」に向いているでしょう。

【寺院墓地に向いている人】
・特定の信教(宗旨・宗派)がある人
・将来、子供から孫へと代々受け継いていける家族のお墓を持ちたい
・供養や法要などで煩うことなく、できるだけお寺にお任せたい
・静謐で交通便利な場所にお墓を持ちたい

 メリットとデメリットの両面がある「寺院墓地」ですが、最も重要なのは菩提寺と良好な関係が築けるかどうかです。
寺院墓地を選ぶ際には、墓地の立地や条件面だけでなく、ご住職の人柄や相性なども重要となります。 
ご購入をご検討の際は、そのような面を考慮した上で、ご家族と十分に話し合い、実際に現地に出向き、住職と面談してからお決めになることをおススメします。

 今回は「寺院墓地のメリットとデメリット」について解説させていただきました。
皆さまが終活の一環として寺院墓地のお墓を購入する際に、ご参考にしていただけると幸いです。

 次回は、「公営墓地(霊園)」のメリットとデメリットについて解説したいと思います。
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