遺言書を作成する際に注意しなければならない事
遺言・相続
最近、終活がブームとなり、以前と比べ「遺言書の作成」は身近なことと感じるようになりました。
また、書店やインターネット上でも、「遺言書作成」の方法や書式など解説しているものを多く見かけるようになったことで、遺言書を作成するハードルが低くなり『自分で遺言書を作成しよう』と試みる方も増えているようです。
そこで今回は、そのような方のために『遺言書を作成する際に注意しなければならないこと』について解説させていただきたいと思います。
遺言書を作成する際には、下記の点に注意しましょう。
遺言内容を正確に書く
遺言は遺言者が亡くなったことで効力が発生しますので、死亡している遺言者に遺言の内容を確認することができません。
もしも遺言の内容が法的に問題がある場合や、法的に不正確な記載があれば、遺言が無効になったり解釈が原因で相続争いとなり、最終的には裁判所の判断に委ねなければならなくなる可能性があります。
そうならないためにも、遺言書の記述は曖昧な表記は避け、明確で正確な文章と内容で書くことが大切です。
遺言は遺言者が亡くなったことで効力が発生しますので、死亡している遺言者に遺言の内容を確認することができません。
もしも遺言の内容が法的に問題がある場合や、法的に不正確な記載があれば、遺言が無効になったり解釈が原因で相続争いとなり、最終的には裁判所の判断に委ねなければならなくなる可能性があります。
そうならないためにも、遺言書の記述は曖昧な表記は避け、明確で正確な文章と内容で書くことが大切です。
(例)
〇不動産Aを相続人1に「相続させる」もしくは「遺贈する」
×不動産Aを相続人1に「与える」「取得させる」や、「譲渡する」
×不動産Aを相続人1と相続人2に「相続させる」
※複数の人に財産を相続させる場合は、かならず持分割合を記載してください
〇不動産Aを相続人1に「相続させる」もしくは「遺贈する」
×不動産Aを相続人1に「与える」「取得させる」や、「譲渡する」
×不動産Aを相続人1と相続人2に「相続させる」
※複数の人に財産を相続させる場合は、かならず持分割合を記載してください
財産の表示は具体的に全て記載しましょう
遺言の効力の発生は「遺言者死亡の時」です。遺言者自身は自分の財産状況を一番よく知っていますから、遺言を書くときには気付かずに、財産の表示を中途半端に表現してしまったことが、遺言の効力発生時に問題となる場合があります。
また、遺言者が亡くなった後に、遺言書に書かれていない相続財産が見つかったり、相続財産の表示を中途半端に表現してしまったりすると、それをどのように分配するかを相続人全員で話し合わなければなりません。
そうならないためには、遺言書には保有しているすべての財産を書き出して、それぞれの分配方法を具体的に指示しておくことが大切です。
なお、相続財産の書き忘れがあった場合に備えて、遺言書に「記載していない相続財産は○○に相続させる」などと記載しておくとトラブルが防げます。
『記載例』
・預貯金…預入している金融機関名・支店名・預貯金の種別・口座番号を記載する
・不動産…登記事項証明書の通り記載する
・有価証券…有価証券の種類・口数(金額など)を記載する
・自動車やオートバイク、ボートなど…車名・ナンバー等、登録の内容がわかるように記載する
・その他の動産(美術品や貴金属ほか)…ブランド・種類・色・原材料・大きさや製作者などで特定する、保管場所も記載することを忘れずに
・預貯金…預入している金融機関名・支店名・預貯金の種別・口座番号を記載する
・不動産…登記事項証明書の通り記載する
・有価証券…有価証券の種類・口数(金額など)を記載する
・自動車やオートバイク、ボートなど…車名・ナンバー等、登録の内容がわかるように記載する
・その他の動産(美術品や貴金属ほか)…ブランド・種類・色・原材料・大きさや製作者などで特定する、保管場所も記載することを忘れずに
法定相続人の該当者を正確に把握しておく
遺言書を作成する前に、まずは、法定相続人が誰なのか漏れなく確認しておくことが必要です。
※法定相続人とは、相続が発生した場合に相続人になる人のことをいいます。
法定相続人を正確に把握させずに遺言書を書いてしまうと、記載漏れが生じる可能性があります。
もし記載漏れがあった場合、記載が漏れた法定相続人から「遺留分」が請求されるなど、トラブルになる確率が高くなってしまうので、誰が法定相続人になるかは必ず確認し把握しておくようにしましょう。
遺言を執行する人(遺言執行者)を指定しておくと安心です
遺言執行者とは、遺言者がお亡くなりになり、相続が発生した際に、遺言内容を間違いなく実現するために様々な手続きを行う役割を持つ人物のことをいいます。
もし遺言執行者がいない場合は、相続人自身が相続に必要な検認や遺産分割の手続き、不動産の名義書換えほか様々な手続き等を行わなければなりません。
遺言執行者とは、遺言者がお亡くなりになり、相続が発生した際に、遺言内容を間違いなく実現するために様々な手続きを行う役割を持つ人物のことをいいます。
もし遺言執行者がいない場合は、相続人自身が相続に必要な検認や遺産分割の手続き、不動産の名義書換えほか様々な手続き等を行わなければなりません。
また、手続きの途中で相続人同士のトラブルが発生する可能性も出てきます。
そのようなトラブルを回避し遺言書の内容を確実に実行するために、遺言執行者を決めて遺言書に記載しておくことをおススメします。
遺言執行者は相続人の方でもできますが、出来れば第三者で、弁護士や司法書士などの法律の専門家に依頼することが望ましいです。
最近では、信託銀行なども遺言書を預かり遺言を執行するサービスをおこなっているようですので、そちらのサービスを利用するのもいいでしょう。
なお、遺言執行者を第三者にした場合には、手数料を払う必要がありますので、その支払い方法や金額なども遺言書に記載しておくことを忘れずに。
共同遺言は無効となります
例えば、ご夫婦で1つの遺言書に遺言するように、「2人以上の者が同一の証書に遺言」をしてしまうと、遺言自体が無効になってしまいます(※民法第975条)ので、遺言書は別々に作成するようにしましょう。
定期的に内容の見直しを行いましょう
遺言書は出来るだけ早めに作成しておくことを推奨しますが、一度作成したら終わりではなく、何度でも書き換えて構いません。
遺言書を作った時と、現在の不動産や有価証券といった資産は価値が変わっていると思います。また、家族の状況も変わっていらっしゃいませんか。
また、税制や相続のルールも随時変わりますので、その時々にあった相続対策が必要となってきますので、定期的に遺言書の内容の見直しをしましょう。
なお、遺言書は何度でも書換えして構いませんが、遺言書が2通存在し場合は、遺言は日付が最新のものが有効であると法律で定められていますので、注意が必要です。
遺言を確実に実行させるためには、「遺言書」の存在と内容は非常に重要となります。
作成した遺言が無効とならないように、法律に則った書式で記載しなければならないことはしっかりと正確に記載し、遺されたご家族が相続問題で悩まないようにしておくことが大切です。
今回は、「遺言書を作成する際に注意しなければならない事」をご紹介させていただきました。
皆さまが終活の一環として遺言書を作成する際に、ご参考にしていただけると幸いです。
皆さまが終活の一環として遺言書を作成する際に、ご参考にしていただけると幸いです。