生前にお墓を建てる「生前建墓」の基本について

墓地・霊園

 終活が盛んになってきた昨今、終活の一環として、ご自身が生きている間にお墓を建てる「生前建墓(せいぜんけんぼ)」をされる方が増えております。

 そこで今回は、終活の基本である「生前建墓」とはどんなことをするのかや、生前建墓をする際に知っておきたいことなどを、「生前建墓」の基本について、あらためて解説させていただきます。

 生前建墓とは、ご自身が生きている間にご自身が入るお墓を建てることで、「寿陵(じゅりょう)」とも呼び、生前建墓で建てたお墓は「生前墓(せいぜんぼ)」といいます。
生前にお墓を建てる生前建墓(寿陵)は、古来中国では、「長寿」や「家内円満」「子孫繁栄」につながり、幸福を招くといわれ、縁起の良いこととされています。

 生前にお墓を建てることで、下記のような様々なメリットが得られます。

「生前墓のメリットについて」
1、ご遺族の負担が軽減できる
 葬儀の準備や遺品整理など、ご遺族にかかる負担は大きいものです。お墓だけでも生前に準備しておけば、残された方達の負担を軽減することができます。

2、節税ができる(相続税がかからない)
 故人の財産を受け継ぐと、その財産に対し相続税が課せられますが、生前に建てられたお墓は「祭祀財産」となるため、相続税が免除されます。
※ローンの残債分は債務控除(相続税免除)の対象とならないので注意が必要です。

3、ご自身の希望するお墓を建てることが出来ます
 墓地の場所の選定や、石材・お墓のデザインなど、生前なので時間に制限がないので、時間をかけて妥協することなく、ご自身が納得できるお墓を建てることができます。

 上記の通り、メリット面が多い生前建墓ですが、お墓を建てる際にはいくつかの注意点があります。

「生前墓を建てる際の注意点について」
1、維持費が余分に必要となります
 納骨されていなくても、お墓を確保した時点から維持費(管理費)やメンテナンス費用、お布施などの様々な費用が発生しますので、早すぎる生前建墓は無駄な費用を支出することになります。

2、墓地・霊園の規定(ルール)の確認が大切です
 墓地や霊園などの施設によっては、「お墓を建てた場合は、○年以内に納骨しなければならない。」など独自の規定を設けている場合があるので、規定の確認は不可欠です。

3、生前墓が断られることもあります
 生前墓を、全ての霊園や墓地が認めているわけではなく、公営墓地や納骨堂などでは、応募条件の1つに「納骨する遺骨があること」を明記している場合が多いようですので、事前に条件面など確認しておきましょう。

4、お墓の費用の支払いは生前中に完了しましょう
 お墓は「祭祀財産」となりますので、相続税が免除されます。
しかし、相続税が免除されるのはは生前に購入したお墓だけで、もしローンなど亡くなった後に未払いの代金が残っていれば、相続人が債務を引き継ぐこととなり相続税の対象となるので注意です。が必要です。

5、将来参拝する方の目線に立って選びましょう。
 将来、ご家族がお墓参りに来る際に不便がないか、交通のアクセス面や、「駐車場の台数は十分か?」「バリアフリーになっているか?」など、参拝する方の目線に立ち細かく想定してチェックすることが大切です。
また、トイレや休憩所、水汲み場などは清潔に保たれているか?など、設備の管理状態や管理・運営する事業主体の経営状態も確認しておく必要があります。

6、現場に行って、お墓をご自身の目で確かめましょう。
 最近のお墓をを紹介しているホームページやパンフレット等は、とてもよくデザインされており、見た目に惑わされてしまいがちです。
また、インターネットの情報や広告・パンフレットだけではわからない情報、例えば、掃除や管理の状態や、電車の乗り継ぎなどのアクセス面など、実際に行ってみてご自身の目で見てみないと分からないことはたくさんあります。

まずは、資料を手に入れ、気になったお墓へは、将来利用するであろう交通機関で実際に行ってみてアクセス面を確認し、気になるところや実際の様子をご自身の目と足で確認することが大切です。

 なお、早めにお墓を建てると、お墓を建てた後にもっと条件の良い霊園や墓地が見つかることがありますが、お墓は簡単に作り変えることができません。
そうならないために、生前にお墓を建てる際は、慌てずにご家族とよく話し合い、条件面など詳しく精査した上で、ご家族の皆様がお互いに納得できる生前墓を建てることが大切です。

 今回は、生前にお墓を建てる「生前建墓」について、詳しくご紹介させていただきました。
終活の基本である「お墓を準備する」際に、ご参考にしていただけると幸いです。
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